青春 7 卒業(2019/02/22 17:12)
3月。受験は終わった。
合格発表の前に、卒業式があって。一足早く終わった私立の受験組は合格を喜び、そんな中に彼女の姿もあった。
卒業式の時に流れた、「川嶋あい / 旅立ちの日に・・・」を聴いて心の中で泣いた。涙が止まらなかった。なんでもないように振舞っていたけど、寂しくて仕方なかった。
教室の中は皆の笑顔と感謝と寂しさに溢れていた。皆笑いながら写真をとった。彼女ともとったっけ?多分とってないかな。俺のスマホには残っていない。高校三年間唯一同じクラスだった女の子と2人で写真を撮ったりした。教室の中に長く留まっている彼女を横目で見ながら、バイバイした。
また、打ち上げで会えるかな。その後は、友達とファミレスでだべった。
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高校は絵に描いたような青春の場所だった。本当に最高の場所だった。
一年の頃は最悪の嫌われ者担任の元で成績も悪い中、仲良くなれないクラスのギスギスの中で球技大会も体育大会もかるた大会も全部一位になった。その皮肉に皆で笑った。
二年は、今まで関わったことの無い人とばっかり同じクラスになったけどなんとかやっていけた。部活は全盛期で楽しかった。正直この頃の記憶はあまり無い。好きな人も別に出来なかった。クラスの中で勉強出来るキャラが定着してきた。
三年は、恋した。部活も近畿大会に出場出来た。成績も伸びた。
部活のあと立ち寄った駄菓子屋も、冬の寒い日に走った池の周りも、春には祭りが開催される高校の桜も、お城のあとに建てられた掘に囲まれた風情あふれる校舎も、めちゃくちゃふざけて遊びまくった部活の同期も、ほとんどの時間を過ごしたテニスコートも、塾の前によって食べたコロッケ屋も。
全部全部青春だった。お金なんてなくても、スキルなんてなくても、勉強なんて出来なくても、良い青春だった。
振り返ればとてもとても良い場所だったんだ。終わって欲しくなかった。こんな日々は一瞬だった。僕はこの生きている瞬間も最高だったことを自覚していたんだ。恵まれていることを自覚していた。
中学時代に憧れた高校。受かっていた時は本当に嬉しかった。
そして終わった。
また春が来た。桜が咲いた。綺麗だった。
そして僕は大学に落ちた。