青春 3 ある日の冬の出来事
文化祭が終わり、センター試験が近づいてきた。
クラスの雰囲気も徐々にピリピリと、同時に寂しさを帯びてきた。
青春が終わるんだ。学校が終わると皆家に帰った。
進学校だった僕の高校は皆、勉強に真面目だった。
国立を目指す一部の人と、私立に行く人に別れた。
「絶対に合格したい、、!」
そう、僕は受験に燃えていた。人より早く受験勉強を始めたのは、
早くから塾に通い出し、その塾の雰囲気に飲まれたから。
他の人より勉強しているはず。行きたい場所がある。負けたくなかった。
lineは、続いていた。
僕の通っていた塾は夜の11時まで空いていたが、
その時間がくるまで携帯をみなかった。
時間がきて、自習を終えた僕がいつもすることは
スマホの小さい点滅を確認することだった。
緑の光の点滅に心が踊った。毎回だ。
lineの返信がきているという合図。まだ
2人の仲が特別であることの合図。
ある日、いつも友達と帰る日常の中、たまたま2人で帰る日があった。
あの子:「(兵庫にある)◯◯大学を受けることにした!」
僕:「え、、、、、、なんで、、」
彼女が目指したのは、愛知の公立の大学だったはず。
それに関西の私立の雄は京都にあるんだ。
なんでわざわざ?
それ以上の追求を許してはくれなかった。
心が少し踊った。
その日は学校の最寄りの駅で3時間は話した。
そんなことは初めてで、学校以外で話すなんて初めてで。
幼少期の自分や、寒い時になんで赤くなるのかとかたわいない会話
僕は小学校時代は何かと問題児だったことを話したり、
部活の成績のことを話したり、なんだ自慢話ばかりだったな。
彼女のどうでもいい、なんだそれ?って話しが好きで
ずっと耳を傾けてた。
寒すぎて切り上げた記憶がある。
向かいのホームから帰る彼女に手を振ることなかった。
その日も行った塾では体の芯まで震えてたのか、震えが止まらなかった。
どんな会話より特別な瞬間で、奇跡だった。